FM802 MINAMI WHEEL FM802 MINAMI WHEEL

LIVE REPORT 2025

スペシャルアクト Saucy Dog

大阪のラジオ局FM802が毎年秋に、大阪・ミナミエリア一帯で展開する日本最大級のショーケース・ライブ・フェスティバル「MINAMI WHEEL」が10月11~13日の3日間に渡って開催された。
最終日となる10月13日(月・祝)には、BIG CATのスペシャルアクトとしてSaucy Dogが出演。
2026年1月4日(日)に大阪・京セラドームでのワンマンライブを控える彼らが、7年にぶりに「MINAMI WHEEL」に出演するとあって、ラジオやSNSを中心に大きな話題に。

イベント当日、会場にはイベント専用アプリによる抽選で選ばれた観客のほか、ミナミエリアに設置された2か所のパブリックビューイング会場にも多くのファンが集結。
さらに、FM802「ROCK KIDS 802-OCHIKEN Goes ON!!」ではライブ全編が生中継され、全国から注目が集まった。

「MINAMI WHEEL」、通称ミナホは1999年にスタートし、今年で27回目の開催を迎えるFM802主催の大型音楽イベントのひとつ。
大阪・ミナミのライブハウス一帯を舞台に、20会場で総勢400組以上のアーティストが出演。
ロックやヒップホップ、R&Bなど多彩なジャンルの音楽が街中に鳴り響くだけでなく、出演オーディションや派生イベント、エリア一帯の飲食店でも関連イベントが展開され、街と音楽が融合し、街全体が“ミナホ”カラーに染まる。

出演アーティストはインディーズからメジャーまで幅広く、注目の若手が多数出演。
歴代の出演者には、国内外で活躍し、アリーナやドームクラスのツアーを展開するビッグアーティストも多く、次世代アーティストの登竜門としても注目されている。


この日、スペシャルアクトとして出演したSaucy Dogも2017年にミナホに初出演。小さなライブハウスでのステージから、今ではドームクラスのワンマンライブを開催するほどのアーティストへと成長した。
そんな彼らの久しぶりのミナホ出演とあって、スペシャルアクトへの登場は大きな話題に。実は出演前から“匂わせ”がいくつかあった。
10月に始まった、FM802で放送中の「EVENING TAP」(毎月~木18:00~21:00)内の新コーナー「Saucy Diner」で、DJを務める石原慎也(Vo/Gt)が出演を予感させるコメントをしたり、ミナホ初日にはこっそりタイムテーブルにアーティスト名が記されるなど、ファンの間で話題となっていた。

開演直前には、FM802のDJ樋口大喜がステージに登場。「Saucy Dogが7年ぶりのミナホ、BIGCATに帰ってきます。今日も伝説の夜を皆さんで作りませんか!」と、観客のテンションを高める。

大きな歓声と拍手に迎えられながら、メンバーが一人ずつステージに登場。
石原はミナホオリジナルTシャツを着用しての登場だ。いつものようにドラムセットの前で気合いを入れると、すっと息を吸い込み、1曲目「煙」へ。
ミナホ初出演の2017年に発表された、エネルギッシュなロックサウンドに感情の揺れを繊細に描いた楽曲。
これまで幾度となくライブで披露された人気曲とあって、オーディエンスは拳を高くつき上げ、手拍子も一段と大きく鳴り響く。

「お待たせしました! Saucy Dog、始めます!」、石原が威勢よくライブ開始を宣言し、次曲「ナイトクロージング」へ。
秋澤和貴(Ba)のベースラインが力強く響き、せとゆいか(Dr/Cho)の軽やかに弾むビートが観客の表情を笑顔に変えていく。
「楽しんでいこうな!」、観客のテンションを煽るように石原が叫び、「雀ノ欠伸」へ。気持ちを鼓舞するようなご機嫌なメロディ、エールを送るまっすぐな言葉。
「みんなもそうだといいな♪」と観客一人一人へ語りかけるように、笑顔を見せながら歌う石原の姿がとても印象的だ。
ライブハウスならではのステージと客席の距離感の近さもあってか、観客の真っ直ぐな熱い反応にご機嫌になった石原は手を頭上に掲げ、“OKマーク”で喜びを伝える。

「『MINAMI WHEEL 2025』、帰ってきました! あなたに会えてうれしいです。最後まで残ってくれてありがとう!」、石原は久しぶりのミナホ出演に喜びを伝える。
せとも「(ミナホは)他のどんなライブよりも緊張するかも」と久しぶりのミナホ出演を噛み締めつつ、「疲れもピークだと思うけど、Saucy Dogのライブが終わるまで、全部出し切ってもらえたら!」と、トリのステージを存分に楽しもうと声をかける。

「お手を拝借!」の言葉から、秋澤のベースがうねりを上げ「雷に打たれて」へ。
近年はアリーナやホールクラスで公演を重ねる彼らが、約800人のキャパのライブハウスで演奏する姿は今となっては貴重な光景。
ステージ上のメンバー同士の距離もいつも以上に近く、ライブハウスならではの熱気や、観客の声が届く距離の近さに、嬉しそうな表情を見せる3人。
ライブの熱量はどこであっても変わらないはずだが、ライブハウスにしか出せない、感じられない熱量があることが実感できる。

「もうちょっと早くあなたに出会えていたらなと思う。でも、今日からはSaucy Dogがあなたのヒーローになりたい!!」と「夢みるスーパーマン」へ。
がむしゃらにギターをかき鳴らし、タイトなビートを打ち出し、熱量の高いステージを展開する3人。「現在を生きるのだ。」では観客の大合唱を受け、さらにドラマチックなバンドサウンドを展開。
心の機微を繊細に映した言葉に魅せられ、観客も大きな感情の波を作り出し、バンドの音に応えていく。

「今日は久しぶりのミナホだったので、懐かしい曲をたくさん演奏してきたけど、みなさん楽しんでいただけましたか?」。
石原の言葉通り、この日演奏された楽曲はバンド初期のものが多く、ステージがどれだけ貴重なものだったかがよく分かる。
そして、「Saucy Dogのはじまりの歌、聴いてください」と最終曲に披露したのは、ミナホ初出演の2017年に発表された、バンドを代表する楽曲のひとつでもあるロックバラード「いつか」。
感情を大きく揺さぶるエモーショナルな楽曲に魅せられ、誰もが夢中になって彼らの音を全身で受け止めていた。

ミナホは400組以上のアーティストが出演するイベント。
最終日もたくさんのステージを観続けてきたであろう観客に、確かな記憶を刻もうとする姿勢は、スペシャルアクトのSaucy Dogであっても同じ。
全7曲、全力のパフォーマンスで駆け抜け、ミナホの最終日のステージを見事に締めくくった。

最終曲の前、石原は「来年、京セラドームで初めてのワンマンライブをやります。
みんなで集まって“明けましておめでとうございます”って言えたら嬉しいです」と語っていたように、2026年1月4日(日)には大阪・京セラドームでのワンマンライブが開催される予定だ。
ライブハウスからドームへ。生粋のライブバンドとして歩み続けてきたSaucy Dogが見せる、渾身のステージを、ぜひその目で確かめてほしい。

なお、この日のステージの模様はFM802「ROCK KIDS 802-OCHIKEN Goes ON!!」でライブ全編が生放送された。
聴き逃した人も、放送から7日以内であればスマホアプリ「radiko」の「タイムフリー」機能で聴くことができるのでぜひチェックを

文:黒田奈保子、撮影:キョートタナカ

<Saucy Dog INFORMATION>
・ライブ情報
「Saucy Dog DOME LIVE 2026 」
2026年1月4日(日) 京セラドーム大阪 開場:14:00 開演:16:00
https://saucydog.jp/feature/domelive2026

・リリース情報
「奇跡を待ってたって」(映画「恋に至る病」主題歌)
2025年10月22日(水) 配信リリース
https://saucy-dog.lnk.to/kisekiwomattetatte