LIVE REPORT 2025
ミナホ出演を懸けた『FM802 MINAMI WHEEL 2025 -New Age- FINAL』で
ステレオドロシー、Messy last girl、To Be Honestが選出!
BLUE ENCOUNTをゲストに迎えた運命の一日をレポート
オーディションライブ『MINAMI WHEEL 2025 -New Age- FINAL』が、8月25日に大阪・BIGCATで開催された。
同オーディションは、FM802が大阪ミナミのライブハウス一帯をジャックし、400組以上のアーティストが参加するショーケース・ライブサーキット『FM802 MINAMI WHEEL』、
通称「ミナホ」への出演を懸けた関西圏の学生アーティスト発掘企画として昨年初めて実施され、今年も約100組の応募の中から音源審査及び、実演一次審査を通過したファイナリスト8組がBIGCATに集結した。
まずは、6月に大阪・LIVE SQUARE 2nd LINEで行われた実演一次審査のダイジェストムービーが流れ、FM802DJハタノユウスケがステージに登場。
イベントの主旨や観客投票の流れを説明し、『MINAMI WHEEL 2025 -New Age- FINAL』がついにスタートした。
ステレオドロシー
「今日は一番熱いライブをしに来ました、よろしく~!」と、やぶうちみんと(Vo.Gt)が呼び掛け、冒頭から軽快なポップチューン「生き急ぎアイロニー」をかき鳴らした男女混合フォーピース、ステレオドロシー。
「少女に向かない」の間奏では楽器隊のソロリレーもバッチリ決めて、「あいつの唄」ではみんとの人懐っこいキャラクターで一気に心の距離を縮めてしまう。目指すはミナホのみならず、年末の『FM802 RADIO CRAZY』!
昨年は最終審査に残れなかったステレオドロシーが、トッパーにふさわしいフレッシュさと即戦力のキャッチーな楽曲群で、見事にリベンジを果たした。
Liver Shot
1曲目の「スピルトミルク」から、西堀旬(Gt)の轟音ギターでバンド名さながらに度肝を抜いたLiver Shot(レバーショット)は、
今年の1月に始動しすでに十代限定ライブオーディション『十代白書』で準グランプリを受賞し、関西最大級のチャリティフェス『COMING KOBE25』にも出演済みという注目株。
我孫子敦生(Vo.Gt)の「今日は僕たちの全部をぶつけて帰ります!」という宣言から突入した「Take you on」でも、跳ねるリズムと高速スラップでとことん踊らせる!
「リロード」ではハードで骨太なギターロックをぶちかまし、滋賀が送り込んだ平均年齢19歳の急先鋒が、全身全霊の3曲で己を燃やし尽くした。
Cider House
続くCider Houseも、 2025年に神戸で結成されたばかりの大学生4人組。
フックのあるビートでクールに聴かせた「DIVE!!」から期待感は急上昇、ギターの機材トラブルも何のその、イントロのリフからアガらざるを得ない「antisocial」でもライブバンドのタフネスを発揮し、全編英語のリリックでまくし立てるようにシャウトする!
Blurよろしくなタイトルからニヤリとさせる「Song 5」のスラッシャーなユニゾンも破壊力抜群で、プレーヤー各々のフレーズからはセンスと可能性がにじみ出る。世に出てわずか半年でつかんだチャンスに、Cider Houseが鮮烈な記憶を残した。
Messy last girl
ド頭の「ノンタイトル」から場数の違いを感じさせたのは大阪は吹田発、孤独を打ち消すロックバンドことMessy last girl(メッシーラストガール)だ。
藤原司(Gt.Vo)が「気合いが入り過ぎて初めてライブでこけたわ(笑)」と笑うほど情熱ほとばしるパフォーマンスで、「あなたが倒れそうになったとき、俺らの曲を聴いてくれたら一人にはさせへん」と、その思いを「孤独と君」でも一心に伝えていく。
藤原が「また会いましょう。それが『MINAMI WHEEL』やったらうれしいな」と奏でた「Honestly」まで、熱量を一切落とさず駆け抜けた、Messy last girlの完全燃焼の15分間だった。
フジモトアキツグ
この日唯一のシンガーソングライターでありながら、自己紹介代わりの「フォークソング」から早速、手拍子が沸き立ったフジモトアキツグ。
「弦なんて6本もいらないんです(笑)」と切れてしまった弦を引きちぎり、アクシデントにも物おじしない堂々たるたたずまいで、「独り言」でもそのハリのある歌声をBIGCATいっぱいに響かせる。
「僕にとって『MINAMI WHEEL』はゴールじゃなくて。
ここを足掛かりにいつかヘビーローテーションに名を連ねたい」とさらなる野望を語り、センセーショナルな題名の「駄作」では時にマイクを通さず生声で歌を届けるなど、最後まで見る者を引き付けた。
カタメツムリ
今春、大阪キタエリアで行われたライブサーキット『GIGANTIC TOWN MEETING 2025』でも一般公募オーディションを突破し、勢いに乗るカタメツムリ。
ギター、ベース、ドラムがバキバキにせめぎ合う壮絶なオープニングからなだれ込んだ「終を待って」でいきなりぶち上げ、その後も「初めまして、ポップとロックの境界線を飛び越えるバンド、カタメツムリです!」とつゆ(Vo)が叫び、
ポップでノリのいいナンバー「ノンフィクション」や、切なさと疾走感溢れる「甘い罠」と畳み掛ける!
加速する進化の過程を鮮やかに見せつけた渾身の3曲は、今後の躍進を確信させるに十分な輝きを放っていた。
Slow Surf
まばゆい光とフィードバックノイズがBIGCATを飲み込んだ「潮騒」から、壮大なサウンドスケープで圧倒したSlow Surfは、安田光佑(Vo.Gt)を中心に京都を拠点として活動。
伸びやかなボーカルとギターのロングトーンが何とも心地良く、緩やかなBPMから一転、緩急自在に躍動した「孤独な惑星より」でもオルタナティブな音像で魅了。
「最後まで遊んで楽しんで踊って帰りましょう」といざなったラストの「幕間」まで、オーディション特有の緊張感や気負いは一切なし。バンド名を地で行くSlow Surfの、ロマンに満ちた世界観に酔いしれた。
To Be Honest
「今日は日々の嫌なことは忘れて、僕たちと宇宙を旅しよう」と宮島孝輔(Gt.Vo)が導いたファンタジックな「星空宇宙旅行」で、あっという間に非日常。
To Be Honestが何を歌っても青春のきらめきが垣間見えるのは、宮島のホームタウンであり「メロディが生まれる街」と自負する京都の風景がルーツにあるからか。
まるで歌うようにメロディと並走する寺澤奎音(Gt)の旋律も印象的で、朗々と「僕の部屋」を歌い上げたかと思えば、衝動とノスタルジーをガソリンに走り出す「セレナーデ」と立て続けに魅せていく。
「『MINAMI WHEEL』を僕らのスタート地点にしたい」と意気込んだ、宮島の願いは果たして成就するのか!?
BLUE ENCOUNT(ゲストアクト)
オーディエンスによる投票~集計のインターバルに満を持して現れたのは、今年のゲストアクトであるBLUE ENCOUNTだ。
サウンドチェックの「Survivor」の段階でケタ違いの熱気でアゲていたが、初っぱなの「BLADE」から瞬く間に最高速まで駆け上がる強烈な幕開け。
「ALIVE」でもBIGCATを軽々ぶち抜くすさまじいエナジーで迫りくる完全無敵の無双状態!
「トップバッターからずっと見てたけど、俺たちも20歳の頃とかオーディションをめちゃめちゃ受けていて、久々に見ると気が引き締まるなと。
『MINAMI WHEEL』には2012年に初めてCLAPPERに出て、2013年にKING COBRA、2014年にBIGCATに立たせてもらって。2015年にはEXTRA EDITIONでなんばHatchでやらせてもらって・・・
お世話になりっぱなしのイベントに帰ってこれてうれしいです。
さっき楽屋で何バンドかと話したら、組んで半年とか恐ろしいこと言ってたけど、俺たちは21年目です(笑)。
ただ、オーディションだろうがコンテストだろうが、総勢9組が集まった対バンだと思ってるから。今日出てるバンドを全員ぶっ倒すから」
田邊駿一(Vo.Gt)が覚悟を告げその一節を歌い出した瞬間、鳥肌と涙腺が起動する。
魂を奮い立たせるアンセム「もっと光を」は、まさにこれからのNew Ageにささげるにふさわしいブルエンからのエール。
容赦なく爆音をフロアに浴びせかけた「VS」でも見渡す限りの拳が上がり、BIGCATが揺れまくる熱狂を生み出した「バッドパラドックス」の後は、トドメの「ポラリス」! 名曲×代表曲×ライブの定番曲満載という豪華セットリストで、ミナホへの恩を倍返し。
「ここで選ばれたバンドはミナホで絶対いいライブをするよ。選ばれなかったバンドも別に生き急がなくていい。いつか出会いに選ばれる日が来ると思うから。今日が全てで、今日が全てじゃないから。
誰かに選ばれて、何かを選んで、その積み重ねが人生だと思う。俺たちも含めて今日出てるアーティストは、オーディションで勝ち残るために曲を書いてるわけじゃない。あなたに届けたいと思って曲を作ってる。
俺たちも21年やってきていまだに分からないこと、大変なことばっかりで。でも、この人生を選んで良かったな、幸せだなと思う。選んだ先で今日、あなたに出会えました。ありがとう、BLUE ENCOUNTでした」
田邊のLiver Shotで完全に開かれたハートに火をともす「ハミングバード」が、生きる力を取り戻すように体に染みわたる。
ブルエンが見せたライブバンドとしての大きな背中は、板の上も下も関係なく、その場にいた全ての人に、大いなる刺激と勇気と感動を与えたことだろう。
そして、FM802DJやスタッフ、来場者らによる投票の結果、選ばれたのはステレオドロシー、Messy last girl、To Be Honestの3組!
10月11日(土)~13日(月・祝)の『FM802 MINAMI WHEEL 2025』に向けて、
「学生ラストチャンスだったので、つかみ取れてホンマにうれしいです」(ステレオドロシー・やぶうち)、「去年は音源審査も通らなかったけど、ここまでやって来れました!」(Messy last girl・藤原)、 「ミナホがスタート地点なんで、僕らの出発を見届けてください」(To Be Honest・宮島)と各々が意気込んだ。
なお、この日のライブの模様やインタビューは、8月31日(日)21:00~『802 BINTANG GARDEN「MINAMI WHEEL 2025 -New Age- FINAL STEP」』でオンエア。
過去1週間以内に放送された番組を聴くことができる、radikoのタイムフリー機能も併せてチェックしてほしい。
取材・文=奥“ボウイ”昌史 撮影=キョートタナカ